老犬アーさんの葬儀

ひと通りの準備を終えて葬儀場に向かいました。アーさんは、ドッグベッドに横たわったまま、車の後部座席に置きました。家族3人で一睡もしていない私が運転し、予定された16時に到着です。

まず、係の女性が迎えてくれました。ドッグベッドのままアーさんを手押しワゴンに置いて、セレモニー室と呼ばれる祭壇のある部屋に通されました。一度係の人が退出し、しばし別れの時間です。横たわっているアーさんを抱きしめて、更には、最後の抱っこを、家族で順番にしていきました。

係の人が戻ってきて、大きなバスケットのなかにアーさんを移しました。白い布で体を覆ってあげます。そして、用意してきたメッセージカードとフードをアーさんの顔の近くに置いて、最後に持ってきた花を飾ってあげました。花は自分たちで用意したものと、トリマーさんが持ってきてくれたものとで、アーさんを華やかに飾ってあげることができました。

決して慌てることなく、ゆっくりした時間のなかで準備ができて、お見送り室に進みました。ここでアーさんは、この世からあの世に旅立っていきます。落ち着いた物腰の白髪の老紳士がひとつひとつ丁寧に進めていってくれました。最後の頬ずりとキスをした後に、焼香をして、いよいよ本当のお別れです。

手押しワゴンによってバスケットに横たわるアーさんが炉の中に入っていきました。もうアーさんの姿は見えません。ワゴンだけが外に出て、お祈りを捧げて、その後、係の人がスイッチを押しました。扉がゆっくりと閉まって、炎が起きる音がしました。とにかく、感謝の気持ちでいっぱいで、無事に天国に辿ってくれるよう祈り続けました。

アーさんが戻ってくるのを待つ間、家族で泣きながら思い出を語りました。そして1時間と少しの時間が流れて、収骨室に案内されました。物音からするとアーさんが熱い炎の中から戻ってきてからもしばらく時間が経っていたので、何が起きているのか不安が過りましたが、姿をみて納得しました。

アーさんは、キレイな骨だけになって、それも、頭と下顎、背骨から尻尾まではまっすぐに、脚、肋などはそれぞれまとめられた形で、本当にていねいに並べられていました。まるで、新しい姿でアーさんが戻ってきたような感じでした。男性係員に助けてもらいながら、アーさんの骨を骨壷に入れていきました。

家族3人で一つずつ長いお箸を使って、丁寧に骨を拾っていきます。係の人は、本当に最後の灰まで小さなホウキとチリトリのような道具を使って骨壷にアーさんを残すところなく移してくれました。最後に、骨壷は蓋が取れないように帯状の布で結び、最後は六角の袋に入れてくれます。これでアーさんと一緒に家に帰ることになりました。

万一のことを考えて、葬儀の方法や場所は調べていましたが、実際どうなるかは想像も出来ませんでした。その場所に来ても、何がどうなるかはまったく分からないというのが正直なところです。お願いしたプランは、ある程度自分たちで準備するもので、バスケットをプラスで頼んだだけでした。それなりの費用ですが、理不尽な値段でもありません。とにかく、丁寧に対応してもらい、アーさんとの別れの儀式に後悔がないことが本当にうれしかったです。

家族が揃っている日に息を引き取り、しっかりとお別れが出来るように一晩と翌日の昼間の時間を確保してくれて、16時の葬儀を可能にしてくれたのは、アーさんの気遣いだと思っています。ワンコは、飼い主の戻りを待って天国に旅立つという話はよく聞きますが、最後の数日の流れ、最期の時間、葬儀まで、どれを取っても、アーさんが仕向けてくれたとしか思えません。立派なインギーの飼い主であったことを、心から嬉しく、誇りに思っています。


コメント